学部留年8

5回生の夏学期が終わるころには、そのグループで集まって実習の課題をやったり、昼休みに根津でランチをしたり、下宿に集まって飲んだりするようになった。まるで普通の大学生生活である。

そのメンバー間では、卒論の実験と共に履修しまくった授業に追われている自分の去就というのは一つのイシューであったようで、よく心配されていた。

実際単位不足は深刻で、必修の多い夏学期にはそれほど単位を積み重ねることが出来なかったため、冬学期も引き続きほぼ全コマ選択科目履修という背水の陣をしく羽目になっていたのだ。

グループのメンバーの一人は、自分が単位のためだけに履修していた他学科の夕方の授業(普通こんなのは、よほど興味が無いと取らない)を、一人で授業を受けるのは退屈だろう、という理由で自分につきあって一緒に受講していた。

よっぽど暇なのか?と思わないでもないが、ただ一方で無性に有り難かったことを覚えている。

 

一つ付け加えておくと、そのグループうちの何人かは駒場で既に留年していた。

類は友を呼ぶということだろうか。

 

5回生の秋ごろ、院試を受けた。学部卒で就活する余裕は物理的に無かったので、修士に進む以外の選択肢は事実上なかった。

そもそも単位がそろって学部を卒業できるのか?という疑問符付きではあったが、院試には無事合格した。

この院試の試験勉強をした記憶があまり残っていない。過去問を農学部の何処かの棟で購入したような気もするが・・・この時期は忙しすぎたのだろう。今やほとんど記憶喪失である。